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小さい頃の夢はなんでしたか?そして、それをかなえることはできましたか?
体を動かすことが大好きな子はスポーツ選手。お菓子が大好きな子はケーキ屋さん、クルマが好きな子は運転手!と自分が好きなもの、熱中していることを、大人になっても続けていたいと願っていた人が多いのではないでしょうか?
レーシングチーム「ルーキーレーシング」にはそんな夢を追い、走り続ける人たちがいます。
静岡県駿東郡小山町「富士モータースポーツフォレスト」内にガレージを構えるプロレーシングチームです。モータースポーツを心から愛し、モータースポーツをもっと盛り上げたいと強く願い、モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくりを実現したい、というトヨタ自動車代表取締役会長豊田章男氏(現在)の熱い想いから、章男氏が個人オーナーとなって2020年に設立されました。
ルーキーレーシングでは、章男氏も選手名「モリゾウ」としてレースに出場しており、参戦する立場だからこそ得られる技術や技能、知ることのできる事実や、気づける課題など、そこで得られた知見をさらなるクルマの開発につなげています。
ガレージとは一般的にクルマの車庫という意味ですので、文字通りレーシングカー(マシン)を整備・調整する場所です。そんなイメージを持って訪問したルーキーレーシングのガレージでは、その想像を遥かに超える大きさにまず圧倒されます。
各ピットに1から6までの番号が割り振られた広大なスペースでは、国内トップレースカテゴリーにて現役で活躍中のマシンが整備されている様子を自由に見ることができます。レースで勝つための秘密がたくさん詰まったマシンを整備する様子は、サーキットでもなかなか見ることができません。モータースポーツファンはもちろんのこと、そうでない方にも一見の価値が有ります。
また、ここにはトヨタのクルマだけではなく、メルセデス・ベンツやマツダといったメーカーのクルマも整備されています。これは、ルーキーレーシングは豊田章男氏が個人で所有するレーシングチームであることから、特定のメーカーに縛られず、レース活動に参戦できるためだそうです。こうしたメーカーの垣根を超えて、モータースポーツを盛り上げていきたいと願うチームオーナーの想いを強く感じることができます。
ガレージは2022年に完成したばかりでピカピカ。清潔で塵一つ見当たりません。
ガレージというと、工具やねじが散乱し、建物全体が油にまみれているイメージを持っていたのですが、実際に訪れてみると、私が持っていたイメージとはかけ離れた、スタイリッシュな内装でした。工具はすべて収納場所が決まっており、液漏れや部品が落ちたときにすぐにわかるように床は真っ白で近未来的。また、色鮮やかなマシンとそこで働く人達がより引き立たつ空間となっています。
このガレージで沢山の人にモータースポーツに興味をもってもらい、クルマの未来を切り開く現場にしたいという想いから、隣接するウェルカムセンターとガレージはともに現在は無料で見学することができます。
レーシングチームでは、監督・ドライバーをはじめ、エンジニアやメカニックなど、多くの関係者が一丸となってレースに臨んでいます。
エンジニアはマシンの状態や走行データ、サーキットの環境を分析することで、マシンの装備やレース戦略を考える人。メカニックは1mm以下の単位でマシンを調整・整備し、レースの途中には、燃料補給やタイヤ交換といったピット作業を素早くこなすことで、ドライバーの順位アップの後押しもします。
そんな勝敗の鍵を握るとも言われるピット作業のトレーニングルームもルーキーレーシングでは全面ガラスばりで見学コースからすべて見ることができます。タイミングがあえば、メカニックがタイヤ交換を練習している生の姿を、実際に目の前で見ることができます。
2023シーズン、ルーキーレーシングが参戦するのは、高性能な乗用車であるGTカーをベースに、レース専用に改造されたマシンで競う「SUPER GT」。一人乗り車両で運転席とタイヤが覆われていないフォーミュラーカーにて競う「スーパーフォーミュラ」。改造範囲が狭く、市販量販車をベースにした耐久レースシリーズの「スーパー耐久」の3つです。
ルーキーレーシングのガレージでお仕事している方々は、まっすぐな背筋できびきびと動く姿が印象的でした。その姿を見学すれば、誰もが、こんなふうに毎日生き生きと仕事ができたらいいよなぁと思うでしょう。
そこで、実際にルーキーレーシングで働く寺尾由貴さんに、ご自身がメカニックになった経緯と、ルーキーレーシングのチームについてお伺いしました。
小さい頃はどんな子どもでした?
小さい頃から乗り物や機械が好きで、家にあるいらないものや、ゴミ捨て場にあるものを持ってきて、中がどうなっているのか分解して確認し、また組み立てるたりする遊びをする子どもでした。
その頃、ミニ四駆やラジコンが流行っていたのでみんなで競争するようになり、自然とモータースポーツの世界に興味を持つようになりました。
レーシングチームにどうやって入ったの?
クルマに関われる仕事がしたいなということで自動車整備の学校に行きましたが、やっぱりモータースポーツの仕事をしたかったので、自分でレーシングチームに1件1件電話をして、「雇ってくれませんか?」と扉をたたいたのが、この世界に足を踏み入れたきっかけです。
昔はレーシングチームに入りたくても、求人募集などはなく自分でアクションを起こさないと入れないような閉ざされた世界でした。今は、とても入口が見えやすくなりました。レースの専門学校もできて、自分たちでレースにでているところもあるし、レーシングチームへのインターン制度もあるので、業界の中を簡単に覗けるようになりました。ルーキーレーシングは求人も出るし、福利厚生もあり、残業もある、ある種の企業です。
どんな人がメカニックに向いていると思いますか?
メカニックの場合は、ともかく物を作るのが好きで、自分で色々なことをやってみたいという人が向いていると思います。「モータースポーツが好き」だけでこの業界に入ってしまうと、モータースポーツ以外のやらなくてはいけない仕事がいっぱいあるので、嫌になってしまうことが多いですが、物を作るのが好きな人は楽しんでできると思います。
ルーキーレーシングはどんなチームですか?
昔は「技は見て盗めとか、自分で考えてやれ」と、後輩に丁寧に教えたりはしないような業界だったのですが、ルーキーレーシングは新人もいれば、トヨタ自動車の社員、元々レース業界で活躍していたプロフェッショナルなど、色々な人がいます。当然、色々な技術や知識はあるのですが、それぞれが欠けている部分もあるので、わからないことはわからないままにしないで丁寧に教えるといった人材育成に力をいれています。
チームワークを高めるためには何が重要ですか?
同じ人が同じポジションで長くやると自然と息が合ってきます。最初はいくら1人で頑張っても、メンバーの理解が追いつかないとチームにはなりません。最初は結構バラバラで、息が合うようになるには1年半~2年くらいかかりました。仕事で一緒にやっていく上でなるべくみんなで一緒にいるように意識しています。結果、今はよいチームワークで仕事を進めることができるようになりました。
レーシングチームでの仕事の魅力はなんですか?
勝ち負けはっきりしている職業なので、勝った時は嬉しいし、負けた時は悔しいしメリハリがあることが魅力です。みんなで一つのことに向かって仕事ができるのがレースの仕事をする醍醐味です。
最後に
寺尾さんのインタビューから、ルーキーレーシングでは、モータースポーツを通じて「クルマ」だけでなく「人」を鍛える取り組みにも注力していることを知りました。レースで勝つためには、それを支える人の労働環境やクルマの業界全体を考える視野が不可欠なのです。
また、脱炭素社会の実現に向けた選択肢を広げる取り組みとして注目を集め、現在スーパー耐久に参戦中の水素エンジンを搭載したGRカローラや、カーボンニュートラル燃料を使用するGR86もここに行けば見ることができます。
モータースポーツはルールが難しく、どこから興味をもってよいのかわからないという方が多いかと思います。
まずは、ルーキーレーシングのガレージに立ち寄ってみてください。きっとその次は、そこで整備されていたクルマが、実際にサーキットを走っているところが見たくなるでしょう。
KINTOはルーキーレーシングの活動を応援しています。
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